顧問在任中の思い出


高橋小一郎

 といっても多く有り過ぎてどれにしてよいか迷いますが、つめて行けば石小屋沢でしょうか。
ある年の若葉の頃、石小屋沢泊まりの朝のこと。小用を足すべく光来出沢より降りたところで、沢の崖よりの高い木の梢でオオルリとキビタキが鳴いていた。
 沢音に負けないような声を張り上げて鳴き、競い合うかのように梢の上の方にと互いにせり上がって行く。遠くにはウグイスの声。日本三鳴鳥(ウグイス・オオルリ・キビタキ)の競演である。しばらく見とれていたが、惜しいことに二羽とも飛び去って終わった。後はウグイスの声が続いていた。こんなのはこの時、一度だけだった。今でも、鮮明に覚えている。
 そしてもうひとつ、それは転石が大原先生を追って冷や汗をかいたことである。


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