巻頭言


新潟県央工業高校山岳部OB会(旧三条工高)

会長 斎藤 勲

 山岳部のOBは、誰もが「心の山」を胸に抱いて巣立っていった。「心の山」とは漠然としているが、深く想い出に残る山であり、何時か登ってみたいと憧れている山であり、自分の胸中の奥深くを占め機会があれば常に登りたいと思っている山(惚れてしまった山)である。
 それは、高校三年間での山岳部の活動で育くまれたものに他ならない。自分に往時のような、純粋でひたむきな時代があったことを、両親や指導してくださった顧問の先生方に感謝したいと思う。
 私にとっての「心の山」は幸せなことに沢山ある。高校時代の粟、守門、巻機、飯豊であり、卒業後の谷川、穂高、剱などである。近年ネパールの山にも数回登っているが、標高、厳しさは日本の山を凌駕するし、機会があればまた登りたいとも思うが、自分の「心の山」を問われれば、やはり前にあげたような日本の山々をあげるであろう。それは身近にある気安さでもあるし、日本の気候風土の素晴らしさでもあると思う。
 「OB会40周年記念誌」が発刊される前に1回生、2回生は還暦を過ぎた。朝日に燃える岩壁にこだまするコールに胸をときめかせたのは遥かな昔となってしまった。この頃では、時間的にも多少の余裕が生まれてきたものと思う。昔、胸に抱いていた自分の「心の山」を反芻してみる時が来たのだ。
 地球温暖化の深刻さが言われ、疾風怒涛の世相の昨今、せめて自分の周囲からだけでも、自然の素晴らしさと愛護の心を発信し続けていきたいものである。そして、今ある自分の揺り籠であった山岳部が、岳人候補生を輩出し続けることをOBの力を結集して応援して行きたいと思っている。


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