私の山暦


斎藤 勲

 2003年、37年間勤務した会社を事情があって55歳で早期退職した。その年に、入退院を繰り返していた父を送り、その後、さまざまな出来事があった。特筆すべきは、最近の災害の多さだろう。

  • 2004年 7月13日  新潟・福井大水害
  • 2004年10月23日  新潟県中越大震災
  • 2007年 7月16日  新潟県中越沖地震

 水害では、車が水没し、2004年の地震では、自宅が半壊となった。幸い、車の方は保険金で新車を手当てし、自宅の方は、被災者生活支援金、共済金と殆どの退職金を充て、OB会員の長谷川一良氏に快適な家に建て直してもらった。
 1968年に見附大火で新築して以来の、2軒目の家の新築だ。中越沖地震は、基礎を堅固にした家は被害はなかったが、最近の災害の多さは異常といえる。自分にとっては、不幸といえば不幸な事だが、「人間万事が塞翁が馬」と割り切って前向きに生きて行くしかないと思っている。

 退職してから変わったことは、

  • 1.ストレスが無くなり体重が3Kg増えた。(標準体重は維持しています。)
  • 2.ランニング、筋トレが日課となり、ロードレースに出場するようになった。
  •  (2007年は、10Kmとハーフマラソンを合計5回。完走が目的です。)
  • 3.ネパールに目を向けられる様になり、2006、2007年と続けて行く事ができた。
  • 4.パソコンを使えるようになり、インターネット、メールと世界が広がり重宝している。
  • 5.社員持株制度で得た株を元に株式投資を始めた。(赤字ではないが撤退の時期です。)

などであろう。今振り返ると、30〜50才代の頃の私は自己の確立の意識の薄いまま、仕事中毒のように仕事に振り回されながら生きていたのだなと思う。その中で得たものも多いが、失ったものはそれ以上に多かった。

 当然今は、好きだった山に行く時間も勤務中より増えているが、20〜30代の頃に夢中になっていた岩登りからは残念ながら完全に足が遠のいた。そして、無念な事はスキーを覚えなかった事だ。OB会員の、三村章司氏、渡辺五郎氏、廣瀬守彦氏の活動を聞くと羨ましく思う。そんな私の最近の山行を紹介します。
日本百名山も50座以上登っているようですが、近頃は、そういう他人が選んだ山は眼中に無く、専ら自分の好きな山を何年も繰り返し登っています。還暦を迎え、山の好みも固まりつつあるようです。

私の山暦

春の山(3〜5月)

 越後の山が残雪に輝き、一番美しい時です。また、里山では、山菜が採れる時期で、山登りに、山菜採りにと忙しい頃です。

谷川岳

 春に2〜3回、3〜5月の晴れた日を狙い、西黒尾根から頂上を目指します。時期により残雪の状態が悪く,ラクダの背の通過に難渋したり、前日の降雪でラッセルしたり、新雪で隠れたクレパスに落ちたり、行く度に色々な驚きがあります。

駒ヶ岳

 5月になってから、駒の湯より小倉尾根を登ります。雪の多い年は、大湯から歩く事もありました。小倉山から前駒の登りはかなり疲れます。6月からは下りのグリセードが快適です。

奥穂高岳

 随分昔に穂高岳山荘から、白出沢をグリセードで下り固雪の上で転倒しそうになり怖い思いをした。2007年の5月5日の頂上は冬の様相だった。凍てついたジャンダルムが美しかった。

粟ヶ岳

 4月下旬、岩団扇が満開となります。帰りに中央峰からのグリセードが愉しみです。

鋸 山

 自宅から登山口まで15分で行ける標高765mの地元の山です。
 残雪期と山菜時期は、少しの時間があれば行くことができる良い所です。
 夏に登っても、朝なら木陰が多いため、そんなに暑くありません。

 穂高岳 ジャンダルム

夏の山(6〜8月)

 6月でも、1500mを越える山々はまだ尾根にも残雪が残っています。そして、高嶺の花が待っていたように一斉に咲き出します。

守門岳

 南側の大原スキー場から登ります。栃尾側と違い急登ですがすっきりした登りです。残雪にブナ林の緑が美しいところです。

中ノ岳―兎岳―丹後山

 十字峡から、朝5時出発で10時間、日帰りで周回します。山中に長時間いられるロングコースです。残雪と咲き出した花々が心を和ませます。道の両脇に行者ニンニクが沢山あり楽しみの一つです。

高妻山

 降雪量にもよりますが、6月初旬頃登ると白根葵が登山道の両脇に満開に咲いて迎えてくれます。動物による食害も無いのか、近年咲き出す数も増えているようです。この山も、山竹の子、ゼンマイ、ワラビと山菜が豊富な所です。

飯豊連峰(石転び沢―北股岳―梶川尾根)

 梅雨明けを待ち、飯豊山荘から約10時間、日帰りで周回します。石転び沢の 雪渓が終わった所からの、北股岳への登りが疲れた身体につらい所です。残雪 豊富な飯豊は8月でも稜線上に姫小百合が見られます。時期、時間帯により下の沢沿いでは、メジロに襲われます。

富士山

 その効果は実感していませんが、ヒマラヤへ出かける前には、日本の一番高い所へ登ります。登山口でも2400mと標高が高いため、前夜いい気になって飲みすぎると頂上近くで失速することになります。

 飯豊 石転び沢雪渓

秋の山(9〜11月)

 9月は大雪山、10月は富士山、北アルプス、11月は県内の低い山でも初冠雪のニュースが届いて来ます。急な寒波での遭難が多いのもこの頃です。
 11月の小春日和の一日、山に遊んでいると、本当に幸せな気持ちになります。

浅草岳

 6月の姫小百合や白根葵の咲く頃も良いですが、秋も格別です。すいている只見尾根から登ります。守門の大原スキー場からの登りに似て、すっきりとした尾根の登りです。

剱 岳

 2002年から体力、精神力のテストとして毎年登っています。日帰りで馬場島から早月尾根を往復します。12時間以上かかりヘトヘトになりますが、達成感は大きいものがあります。頂上直下の岩場が楽しい所です。

西穂高岳(新穂高より)

 新穂高からロープウェーを使い、標高2156mの西穂高口まで行けます。運動せず高所に上がるため、西穂の頂上までは標高差で750m位ですがつらいものがあります。11月は新雪のラッセルとなることもあります

上州武尊山

 武尊神社―剣ヶ峰―上州武尊山―手小屋沢小屋―武尊神社と周回します。静かで空いていて、初雪の降った後はとても良いコースです。

奥穂より槍ヶ岳を望む

冬の山(12〜2月)

 越後の山は、深い雪の中で、殆ど身動きが取れない時期です。正月は快晴の空を求めて、八ヶ岳まで出かけます。スキーをやらない身にとって、他のシーズンより幾分暇な時です。

八ヶ岳

 正月、20年以上通っていて、色々なコースに行きましたが、最近は行者小屋―文三郎道―赤岳―地蔵尾根の周回ルートが殆どです。太平洋側で天気は良いですが、稜線上は風が強く、大抵地吹雪の洗礼を受けることになり、睫毛、鼻毛が凍ります。標高も3000mに近いため、それなりの厳しさも味わえます。

 八ヶ岳(赤岳)の夕暮れ

米 山

 中越の冬の名山です。晴れた日は日本海を見ながら登れます。新雪が降った後のブナ林の急坂のラッセルはとてもやりがいがあります。(大抵はトレールがついています。)

さわさわと 日差しに落ちる樹氷かな

 米山 ブナ林の登り


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