春風に誘われ残雪の山を攀じ雪割草の咲く谷に立つ 説明

4月6日、近郊の鋸山(765m)に登る。頂上近くの谷の源頭に咲く雪割草を見に行くのだ。この時期、登山口までの道路は雪に閉ざされている。40分雪を踏んで歩いてから、ようやく登り始める。登路はキックステップでみずから刻んでゆく。急な雪壁もひたすら真っ直ぐ登って行く。残雪についた直線状の足跡を振り返ると自分ながらささやかな達成感を感じる。 雪の斜面を2時間半登った後で見る雪割草は、苦労した分、心なしか美しく見える。

この短歌は「山と渓谷2013年8月号」短歌欄入選5首中の2首目に選定されました。 選者来嶋靖生氏によれば「上の句から下の句へ流れていく調べが美しい。いつもながらの格調を保った力強い歌。」との評でした。